「惜別乗車記」なんてタイトルを付けると、なんとなく特急[あしずり号]や2000系DCが引退するような感じを与えてしまいそうですが、そうではなく、私が1年6か月過ごした四国・高知をこの3月末で離れることが決まったので最後にもう一度…と読み替えてください。
まずは、土佐くろしお鉄道が保有している2700系DC2連を使用する特急[あしずり3号]に乗車し、土佐入野駅を目指します(土佐くろしお鉄道が保有している2700系には、車体側面に「JRのマーク」が入っていません。)。
列車は11時35分頃、高知駅の東側にある留置線からの入線となります。
平日の日中…ということで列車は空いていると思っていたのですが、自由席の入口には乗車の長い列ができていましたので、指定席を確保しておいて正解のようでした(指定席も窓側席数席を残すのみでした。)。
ひととおり写真を撮影し、座席について一息ついていると特急[あしずり3号]は高知駅を発車します。特急列車といえども、普通列車の本数が少ない土讃線ですので、旭駅、朝倉駅、伊野駅と小まめに停車をしながら進んで行きます。
混雑していた車内も佐川駅、須崎駅で多くの乗客が降りましたので、車内もだいぶ空いた状態となりました。
高知駅以北の土讃線では、その大出力エンジンを生かして豪快に走っていく2700系DCですが、高知駅から西の土讃線区間には路線状況が弱いエリアもあるようで、速度を落として通過していくシーンがいくつもありました。
須崎駅の手前から安和駅を過ぎるまでの区間は太平洋を見ることができます。海なし県に生まれ育った性でしょうか、海を見るとどうしても写真を撮りたくなりますね…。
安和駅を過ぎると特急[あしずり3号]は山岳区間へと入り、豪快なエンジンを立てながら勾配を登っていきます。
久礼坂の勾配を登りきると、あとは緩やかな坂を下り、その後、四万十町の中心駅となる窪川駅に到着します。
この窪川駅からは先は土佐くろしお鉄道線へと入ります。
特急[あしずり3号]は、窪川駅の次の駅である若井駅を過ぎると予土線と別れ、その後ループ線へと入っていきます。列車に乗っていると、さほど「曲がっている。」とか「旋回をしている。」という感じはしないのですが、地図を見ると大きく円を描いたうえで進行方向を変えていることがわかります。
土佐佐賀駅を過ぎると左手には再び太平洋が広がってきます。その後、白浜海岸を見ていると、まもなく特急[あしずり3号]は土佐入野駅に到着します。
今回、所要のためこの駅で特急[あしずり3号]を下車しました。
VIDEO:土佐入野駅に到着・発車する特急[あしずり10号]
土佐入野で所用を済ませ、帰りの列車である特急[あしずり14号]に始発駅から乗車したいので中村駅に向かいました。
※車体にJRのマークが入っていません。
中村駅から2000系DCを使用する特急[あしずり14号]に乗車します。
この特急[あしずり14号]に使用される車輛は、中村駅に15時分に到着する特急[あしずり5号]の折り返し運転となりますので、じっくりと撮影をすることができます。
特急[あしずり14号]の客扱い開始は発車の15分くらい前から…ということなので、待合室で写真の整理をしたり、この原稿の下書きをしながら待ちます(中村駅の待合室は寒くないですし、コンセントもフリーWi-Fiもあります。)。
16時20分過ぎ頃から客扱いが開始となりましたので、私も早々にホームへと入り、ひととおり写真を撮ってから車内へと入ります。
さすがに最新鋭の2700系DCに比べるとアイドリング時の音や振動が多く、また、シートの幅もだいぶ狭いなど、若干の古さと窮屈感を感じますが、なんとなくそれが安心感や居心地の良さにも感じますので不思議と言えば不思議です。
発車の時刻となり、特急[あしずり14号]は、2700系DCとは明らかに異なる咆哮を上げながら中村駅を発車していきます。
さて、今回乗車している2000系DCですが、この車両は四国島内の高速道路網整備に伴い、急勾配・急カーブが連続する土讃線における特急列車の速度向上を目的としてJR四国と鉄道総研が共同で開発した日本初の制御付き振り子式車両です。
その土讃線を走るために搭載されているエンジンは、コマツ製の出力330psのインタークーラー付きターボチャージャを装備した直噴エンジンで、1両当たり2基搭載しています。出力的には2700系DCに劣るものの、両方を乗り比べると2000系DCの方が速いのでは?と思うのは私だけでしょうか…?
また、この2000系DCですが、1990年の登場以来、四国島内の主力車両として活躍をしてきたのですが、2021年3月13日のダイヤ改正をもって特急[南風号][しまんと号]の全列車と特急[あしずり号]の1往復が2700系DCに置き換えられました(岡山駅・高松駅への乗り入れも終了となりました。)。そして、今年のダイヤ改正でも2000系を使用する特急[あしずり号]の運用が減少し、現在では、予讃線の特急[宇和海号]全列車と土讃線・土佐くろしお鉄道の特急[あしずり号]の一部に使用されているのみとなっており、今や貴重な特急車両でもあります。なお、高知運転所には2000系DCの改良型であるN2000系DCについては配置されていませんので、特急[あしずり号]に使用される車輛は全て2000系DCとなっています。
中村駅を定刻に発車した特急[あしずり14号]は、軽快な足取りで土佐くろしお鉄道線を駆け抜けていきます。
途中の土佐佐賀駅では、同じ2000系DCを使用した、下りの特急[あしずり7号]と交換するという鉄道ファンにとってはたまらない一瞬が訪れます。
その後も特急[あしずり14号]は、ターボチャージャー独特のヒュィーンという音を響かせ、車体を右へ左へと傾けながら高知の山間部を駆け抜け窪川駅へと到着します。
窪川駅では乗務員交代(土佐くろしお鉄道→JR)を行った後、特急[あしずり14号]は久礼坂峠を目指して進んで行きます。たぶん、非力な181系DCや185系DC(今と比べると非力ですが、登場した当時は高出力のDCでした。)の時代には苦労したと思われる場所ですが、2000系DCは何の苦も無く超えていきます。
観光列車だと減速をして通過する安和駅も、特急[あしずり14号]には関係なし!と言わんばかりの速度で通過し、しばらく街中を走ると須崎駅に到着します。時間的に通勤・通学時間帯ということもあり、須崎駅からは何人かの乗客が乗ってきましたが、それでも特急[あしずり14号]の車内を埋めるほどではありません。
その後、佐川駅、伊野駅、朝倉駅、旭駅と小まめに停車をした後、特急[あしずり14号]は定刻どおり高知駅に到着し、私の2000系DCへの最後の乗車(多分ですが…)も終了しました。
2000系DCに乗りたくて、今年に入ってからも1月、2月と2か月続けて2000系を使用する特急[宇和海号]に乗車をしたのですが、どちらとも使用車両がN2000系でしたので、高知を去る前に「もう一度オリジナルの2000系に乗りたい…」と思っていたのですが、今回、無事に念願がかない、これで思い残すことなく高知を去ることができそうです。
【乗車日:令和 4年 3月29日(火)】


【乗車日:令和 4年 3月29日(火)】

























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