※古い乗車記を他ブログから引っ越しています。写真がありませんが、よろしければご覧ください(by管理人)。


 今年の夏も青春18キップの時期を迎えました。今回は5回分のキップでどこに行こうか?何をしようか?といろいろと考えた結果、今回は「盲腸線」の乗車にチャレンジしてみようと思いつきました。

 「盲腸線」というのはご存知のとおり、起点・終点のどちらかが他の鉄道路線と接続しておらず、あたかも盲腸に見えることからそのように俗称されているようです。
 さて、この「盲腸線」と呼ばれる線区はいくつもあるのですが、いざ乗車しようとすると困難なことがたくさんあります。何が大変かと言うと…①列車本数が極めて少ない(2~3時間待ちは当たり前)。②片道乗車はほぼ無理(行ったら同じ行程を帰ってこなければならない。)。③そもそも起点となる駅までも遠い、等々の事情もあるため、なかなか挑戦する機会もありませんので、今回の青春18キップではそんな「盲腸線」の乗車をしてみようと思っています。

 まず、最初にチャレンジするのは福井県を走る「越美北線(えつみほくせんと読みます。)」です(前日に「久留里線」を乗車していますが、こちらは青春18キップではなく「ツーデーキップ」を使用していますので、今回は青春18キップを使っての最初の旅となります。)。





①上野(2333)→富山(539) 601M 急行[能登] 489系9連【H01編成】
(←富山⑨ クハ489-1+モハ489-6+モハ488-6+モハ489-19+モハ488-204+サロ489-23+モハ489-4+モハ488-4+クハ489-501 ①上野→)
 いつもですと快速[ムーンライトえちご]を使用するところですが、今回使用しているキップは「ツーデーパス」ですので、このキップを有効に使用しようと思い、上野からは急行[能登]に乗車して富山を目指すことにしました。

 さすがに青春18キップの有効期間中ということで、急行[能登]の乗車率は50%くらいでしょうか?車内がすいていましたので発車直後にシートをボックス席にしてゆっくりと座っていきます。快速[ムーンライトえちご]も高崎線の終電車代わりに使用されるケースが多いようですが、急行[能登]も高崎までの乗客が多く、ここまでは減光もされずに終電車の代わりを務めます。

 高崎では先に到着していた快速[ムーンライトえちご]をホームに残して急行[能登]が先発します。その後はうとうとしていたような気もするのですが、長岡駅に到着したことを覚えていますので、やはりいつもどおり寝れずにいたようです。ただ、長岡出発後は記憶が無く、目が覚めたら糸魚川に到着する直前でしたので、初めて夜行列車で寝ることができたようです。やはり足を水平に投げ出せる効果は高いようです。

 糸魚川駅を過ぎると、急行[能登]は結構小まめに停車していきます。「降りる人なんかいないのに…」と思っていたところ、降りる人はいなくても乗ってくる人が結構います。そうです、急行[能登]はこの区間の1番列車の役目を果てしているようです。それでも車内はがらがらに近い状態ですので、急行[能登]の未来は明るくないといえるのではないかと思います。そんな事を考え名から乗車していたところ、間もなく列車はすっかり明るくなった富山駅に定刻に到着しました。





②富山(543)→金沢(639) 418M 475系6連【A17+A03編成】
(←金沢 クハ455-62+モハ474-44+クモハ475-44+サハ455-4+モハ470-1+クモハ471-1 富山→)
 ここからが「青春18キップの旅」となります。
 富山駅からは普通列車で金沢を目指します。朝早い列車なので419系の6連を期待していたのですが、残念ながら富山駅のホームで待っていたのは475系の6連でした。
 北陸地区の475系列はデッキ部分付近のシートがロングシート化されていますが、ボックス席がずらっと並んでおり、その姿はまさしく往年の急行列車そのものと言えます。
 朝早い時間帯の列車でしたので、乗降客も少なく1ボックスを1人で占有したまま金沢駅に到着しました。





③金沢(655)→福井(827) 322M 475系6連
(←福井 クハ412-10+モハ412-10+クモハ413-10+クハ455-10+モハ474-18+クモハ475-18 金沢→)
 金沢駅からも475系の6連に乗車して福井駅を目指します。
 車窓の風景をここに記載したいと思っていたのですが、延々と平野を走るだけで特徴らしい特徴がありません。
しいてあげるなら、加賀温泉駅の大きな観音様が見えたことでしょうか…。




④福井(906)→九頭竜湖(1046) 725D
(←九頭竜湖 キハ120-202+キハ120-204 福井→)
 福井駅からは越美北線の乗車にチャレンジします。
 越美北線は福井県福井市の福井駅から福井県大野市の九頭竜湖駅に至る、全長52.5Kmの鉄道路線です。

 もともとは福井県福井駅と岐阜県の美濃太田駅の間を結ぶ鉄道(越美線)として建設された路線ですが、両県を結ぶ計画は果たせず現在に至っています。また、福井県側はJRの路線として残っていますが、岐阜県川は長良川鉄道越美南線という形になっています。現在は福井市と大野市の都市間輸送と九頭竜湖方面への観光路線となっています。

 今回は福井駅から終点の九頭竜湖駅まで乗車しますが、越美北線は今から5年前の2004年7月に発生した福井豪雨により、九頭竜川水系足羽川に架かる5つの橋梁が流出し、越前花堂-越前大野間が普通となってしまいました。全線の復旧には数年を要し、新線建設と同程度の費用がかかるとされて、路線存続の危機となりました。 その後、JR西日本と福井県が工事費を拠出することで合意し、2005年10月から復旧工事が始まり、2007年6月30日、豪雨災害発生以来3年ぶりに全線復旧をしたという経緯があります。

 富山駅の2番線ホームに入ってきたのはキハ120系の2連です。「おぉ!2連で運転されるんだ!」と思ったところ、うしろの1両は越前大野どまりということで、九頭竜湖駅を目指す人は必然的に先頭車両に集まり、先頭車両は結構な混み具合です。

 列車は定刻どおりに福井駅を出発します。軽量な車体に強力なエンジンなので決して遅くはないのですが、車体が短いのでピッチングは相当なもので、結構身体が揺さぶられ不快な感じを受けます。大糸線のキハ52の後継車両がキハ120ということらしいですが、線路の状況が良くない大糸線には向いていないのではないかと思います。

 平野部を走っていた列車も小和清水駅を過ぎると両側に山が迫ってきます。渓谷の美しさを味わいながら乗車していると、唯一の交換可能駅となる越前大野駅に到着します。
 越前大野駅では列車分割をするため13分間停車します。この時間を使って駅の観察と記念の入場券を購入します。乗客の多くはやはり車両の分割に興味があるようで、写真を撮っている人が多かったようです。

 越前大野駅からは身軽な1両となって終着駅の九頭竜湖駅を目指します。乗客は20名ほど乗ってはいるのですが、どうみても地元の方が5~6名で、あとは青春18キップ組のようです(夏休み期間中の土曜日でこれですから、平日は一体どうなのでしょう?)。
 列車は間もなく終着駅の九頭竜湖駅に到着しました。





⑤九頭竜湖(1058)→福井(1222) 728D
(←福井 キハ120-202 九頭竜湖→)
 九頭竜湖駅では「到着証明書」をいただき、記念の入場券を購入した後、今まで乗車してきた列車の折り返しとなる列車で福井駅に戻りました。
 復路も青春18キップ組が乗客の半数を占めるという状態でしたので、正直言って越美北線の将来は厳しいと感じられる1日でした。





⑥福井(1246)→富山(1538)  355M 475系3連【A20編成】
(←富山 クモハ475-47+モハ474-47+クハ455-20 福井→)
 福井駅からは475系3連に乗車して富山駅を目指します。乗ってしまえば乗換いらずで富山まで行けるはいいのですが、さすがに3時間に及ぶ乗車は正直きつかったです。
 また、この列車は全区間とも混雑しており、私のボックス席にも入れ替わり立ち代り違う人が座るという状態が続きましたので、なおさら疲れる乗車でした。





⑦富山(1544)→直江津(1750) 549M 475系3連【A18編成】
(←直江津  クモハ475-45+モハ474-45+クハ455-47 富山→)
 富山駅からも475系に乗車して直江津を目指します。今日は北陸地区の普通列車に4本乗車しましたが、全て475系で419系には乗ることができませんでした(残念!)。
 この列車は先ほどの列車とは異なり、富山駅では混雑したものの先に進むに従って乗客が減っていくと言う列車で、糸魚川から先はガラガラの状態でした。





⑧直江津(1751)→長野(1922) 3330M [妙高10号]  183・9系6連【N101編成】
(←長野① クハ183-1528+モハ188-37+モハ189-37+モハ188-28+モハ189-28+クハ183-1525 ⑥直江津→)
 今回のたびの締めくくりは[妙高号]です。やはりリクライニングするシート・静かな車内の列車は楽ですね。今日は6号車指定席を貸切で長野まで過ごすことができました。




 越美北線は長野から離れているだけでなく、その乗車距離も長いためなかなか乗車する機会がありませんでした。今回、東京から急行[能登]に乗車することでなんとか乗車することができました。
 越美北線も遠方から乗車しに来ていただいた人を対象に「到着証明書」なるものを駅の窓口で配布するなど、乗客の増加に向けた努力はしているのでしょうが、ここまでアクセスが悪くまた列車本数が少ないと言うことになると乗車する側も二の足を踏んでしまいますので、将来的には厳しいのではないかと思わざるを得ない1日でした。



【乗車日:平成21年7月25日(土)】鉄道コム