5月の連休に家族全員で旅行に行こうと思い、客車がリニューアルされた[ばんえつ物語号]に乗車するか、只見線を走破するキハ28・58系DC+ビューコースター風っこ号に乗車するか悩んだのですが、なかなか只見線を走破する機会は巡ってこないと思い、快速[只見新緑号]と快速[風っこ会津只見]に乗車することにしました。

 各地のイベントとして用いられることが多いビューコースター風っこ号については、人気が高いと聞いていましたので指定席の入手が困難だと思っていたのですが、1か月前の発売日ではなくとも指定席を楽々確保することができ、結果的には出発前日の段階でもサイバーステーションで空席状況を確認したところ○印が付いていましたので、どうやら完売にはならなかったようです。

 当初は家族全員で出かける予定にしていましたが、直前になり下の男の子が「公園で遊びたい。」と言い出したので、今回は小学校6年生と5歳になる娘の3人で出発することにしました。



①新井(655)→長岡(815) 3371M  快速[くびき野1号]  485系6連【T16編成】
(←長岡  クハ481-351+モハ485-1020+モハ484-1020+モハ485-1045+モハ484-1045+クロハ481-1011  直江津→)
 今回の旅行も乗車券は「えちごツーデー・パス」を使用しますので、新井駅までは車で来て快速[くびき野1号]に乗車します。新井駅が始発で乗客もまばらでしたので、じっくりと各車両の設備等を見比べて、シート床面を持ち上げたアコモ改善された5号車に乗車します(4号車も同様の改善がされています。)

 列車は雲ひとつ無い快晴の中、新井駅を定時に出発します。4連休の初日というこで混雑を予想していたのですが高田、直江津では若干の乗車客がいたものの乗車率はざっと見ても30%程度と空いています。柿崎付近から柏崎の手前までは海岸線を走りますが、子どもたちは久しぶりに見る海に大喜びではしゃいでいます。柏崎では大量の乗車客があり、ようやく全席が埋まり一部の車両には立ち客もいるという状態になりました。柏崎からは先ほどまでの海岸線から離れ、山あいを縫うように進み、右手にEF64やEF81が身体を休めている機関区が見えると間もなく長岡駅です。快速[くびき野1号]は多くの乗客が並ぶ長岡駅には定時に到着しました。




②長岡(827)→六日町(922) 1728M  115系4連 
(←六日町  クハ115-2037+モハ114-105+モハ115-109+ハ115-551 長岡→)
  長岡駅では10分少々の待ち合わせで水上行きの普通列車に乗車して六日町まで移動します。
 長岡駅で大勢の乗客が降りましたので余裕でボックス席を確保できました。今回の115系は旧新潟色(緑色×白色)の編成ですが、なんとなくだいぶ古びた感じがします(シートの色が緑色になっていますので、アコモ改善車だとは思いますが。)。

 宮内駅で信越本線と分かれると列車は田園地帯を疾走します。長野県ではこの時期に田植えが本番となりますが、新潟県では若干遅いようで、まだ代かきも行われていない田畑が多く見られます。
  只見線の始発駅は小出駅ですが、今回乗車する快速[只見新緑号]は六日町駅が始発となるため小出駅には降りずに六日町駅を目指します。




③六日町(956)→只見(1202) 9729D(9428D) 快速[只見新緑号] 
(←只見  キハ40-583+キハ58-1022+キハ28-2371  六日町→)
  六日町からは、国鉄色に塗色変更されたキハ28・58を使用する快速[只見新緑号]に乗車します。今回の快速[只見新緑号]には国鉄色のキハ28・58の2両のほかに、首都圏色を纏ったキハ40-583が連結されており、六日町駅のホームに入線してきた姿はまさに国鉄時代の急行列車のようです。

 昨年の10月に同様の列車(快速[磐西・只見ぐるり1周号])に乗車したときは、立ち客がでるほどの混み具合でしたが、六日町のホームで待っている人は30名程度です。混雑するならばロングシートのキハ40に乗車しようと思っていたのですが、これならばキハ28か58のどちらかのボックス席に座れそうでしたので最後部となるキハ28の乗車口に並びます。

 六日町駅に回送されてきた快速[只見新緑号]は10分ほど停車したのち、只見を目指して出発します。沿線の人たちも普段見慣れた車両と違う車両が走っているせいか、興味深げにこちらを見ています。また、子どもたちが手を振っているのに応えてくれる人が多く、車内はとっても良い雰囲気に包まれています。

 小出駅には上越線ホームの2番線に到着します。このあと列車は只見線のホーム(4~5番線)である4番線に入れ替えを行うため40分弱の停車となります。この時間を利用して買い物をしたいところですが、あいにく小出の駅前には商店と呼べる店舗が何もなく、駅の売店にもお菓子やジュース類程度のものしか販売していませんでした。列車は一度ドアを閉めたのち新潟方向に進み、そののち只見線のホームに入線します。

 小出駅で長時間停車したのち列車は只見駅を目指して進みます。最初のうちは田園風景が広がっていましたが、入広瀬駅を過ぎる頃から川の水の色が深い色から透明な色に変わります。沿線に見えるのは「山と川(水)」だけですが、日本にこんなところが残っていたのかと思うような景色が続きます。全く列車には興味のない娘たちも「水がきれい。山がきれい。こんな景色見たことがな~い。」と大はしゃぎです。私自身も息をのむような景色に魅了され、この景色を見るだけでも只見線に来た価値があると思えました。

 臨時停車駅となる田子倉駅付近ではカメラを構えた人たちの放列に迎えられ、長いトンネルを抜けると只見駅が見えてきました。




◎只見駅にて
 只見駅では快速[風っこ会津只見]号の発車までに1時間以上の時間がありますので、子どもたちと駅付近を散策します。
    駅近くの神社の桜が満開でしたのでそちらへ行こうと思ったのですが、子どもたちは駅横に大量に積まれた雪山で遊んでいるようなので、私はキハ28・58系とビューコースター風っこの並びや小出駅に戻る快速[只見新緑号]の写真を撮ったりしているうちに、出発の時間が近づいてきました。





④只見(1318)→会津若松(1617) 9430D  快速[風っこ会津只見] (←会津若松  キハ48-547+キハ48-1541 只見→)
 只見駅からは「ビューコースター風っこ」を使用した快速[風っこ会津只見]に乗車します。
 「ビューコースター風っこ」については、平成16年5月に飯山線に初めて走った「飯山線風っこ号」に乗車して以来、久しぶりの乗車となります。5月上旬の山間地を走る列車でしたので「寒いのでは…。」と思っていたのですが、そんなにスピードを上げることもありませんので、ほとんど風も気になりません。
 以前乗車したときには排気ガスのにおいがだいぶ気になりましたが、風向きがよかったのか、何か対策がされたのかはわかりませんが今回は余り気にもなりません。

 車内では出発すると間もなく只見町の隣町にある金山町の職員から、名水を使用した特産品のサイダーの配布があり子どもたちは大喜びです。
  その金山町の役場のある会津川口駅は只見川のほとりにある駅で、ここで只見線の列車は交換をするようで、今回もそのシーンを見たかったのですが、今回は臨時列車と言うこともあり、他の列車と交換することもなく2分の停車後出発します。

  只見線を走破する列車は上下各3本しかありませんので、めったに列車同士が交換する機会がありません。今回はその貴重なシーンを会津坂下駅で体験することができました。また、会津坂下駅のホームでは地元の人たちが臨時の売店を開いており、たこ焼きを売っているのが珍しかったので思わず購入してしまいました(その他には焼き鳥や手羽焼きが売っていました。)。

 只見線も西若松駅に近づくとそれまでの景色と変わり住宅街が広がってきて、「街」に戻ってきたなと実感できます。レトロ調の駅舎の七日町で会津鉄道の快速列車と交換をしたのち会津若松駅に到着しました。




⑤会津若松(1636)→新津(1908) 231D 
(←新津  キハ47-1511+キハ47-522 会津若松→)
 会津若松からは普通列車に乗車して新津を目指すところですが、磐越西線のホームに行ったところ喜多方駅付近の沿線火災の影響で列車が止まっているとのアナウンスがありました。

 新津駅では次の列車まで1時間の待ち合わせ時間がありますので、多少の遅れなら問題はありませんが、万が一のことを考え子どもたちをホームに並ばせ駅弁とパンを購入しておくことにしました。

 時刻表を確認したところ新津から快速[くびき野]に乗車しないと、今日中に家に戻れなくなってしまいますので、なんとか運転を再開してくれないかと思っていたところ、運転再開のアナウンスがあり、新津行きの普通列車は約30分遅れで満員の乗客を乗せて会津若松駅を出発しました(出発ホームが3番線から4番線に変更になりました。)。喜多方駅までの間は平坦地を走るため、およそ鈍重なキハ40系とは思えない走りをみせ、30分の遅れをいくらかでも取り戻そうとしているかのように思えました。

 喜多方駅を発車してすぐの沿線に消防車が集まっており、回りの建物を見るとまだくすぶっている倉庫がありました。どうやらここの火災が原因で運転が停止していたようです。喜多方の出発は26分遅れで出発しましたので、このままで行けば乗り継ぎは大丈夫と思っていたのですが、途中の野沢駅で先行のSLばんえつ物語号が停まっている関係で30分、同じ理由で津川駅で更に30分と遅れがどんどん拡大してしまい、津川駅を出発する時点では遅れが1時間30分にまで拡大してしまいました。その後、新津の到着までに5分ほど遅れを取り戻すことができましたが、いかんせん、本来乗車する予定の快速[くびき野6号]は出発していますので、電車では新井駅に戻れないことがこの時点で確定してしまいました。
 



⑥新津(2032)→長岡(2127)  458M   115系6連【モハ114-1077】
  そうは言っても新津に立ち止まっているわけにはいきませんので、ひとまず長岡行きの普通列車に乗車します。
 この列車に長岡まで乗り、長岡からは直江津行きの普通列車が接続しています。直江津から先に進む列車がありませんので、どうなるかわかりませんがとにかく先に進むことにします。

 混んでいるかと思ったのですが、6両編成の列車のためボックス席にゆったりと座ることができました。磐越西線は大幅な遅れが出ていましたが、信越線は全く遅れが生じていなかったので、ようやく精神的にも余裕が出てきて、会津若松駅で購入したお弁当を食べることにしました。
 列車は1分の遅れも出さず定刻に長岡駅に到着しました。




⑦長岡(2159)→直江津(2326) 1362M   115系3連【クモハ115-1014】
  磐越西線で乗車していた列車の車掌さんからは「直江津駅まで行って、その後のことを相談して欲しい。」といわれていましたが、大きな駅で相談した方がいいと思い長岡駅で直江津以南の行程を相談したところ「直江津駅では結論が出せないと言っているので、長岡駅で検討させていただく。」ということになり、待合室でしばらく待つことになりました。待合室で10分ほど待っていると駅員さんがやってきて「列車代行のタクシーを用意するので、タクシーで新井駅まで送ります。」との回答でした。これでなんとか自宅に戻ることができそうなので、ホームに停まっている直江津行きの普通列車に乗車します。

 この列車も長岡駅が始発ということでボックス席を余裕で確保することができ、子どもたちは出発前からお休みの状態です。今日は朝7時から電車に乗りっぱなしだったので、私自身もうとうとしてしまい、気がつくとあと少しで直江津駅というところを走っていました。



⑧直江津→新 井
 この時間では新井駅へ向かう列車は無いのですが、直江津駅からはJRが用意してくれたタクシーで新井駅へ帰ります。ほかにも同じような乗客がいるかと思ったのですが、どうやら私たち以外にはいないようでした。
 タクシーは約30分ほどで新井駅に到着し、そこから自分の車で長野の自宅まで戻り、今回の旅行も無事終了となりました(ちなみにタクシー料金は6,190円でした。)。


 今までもトラブル遭遇して、目的地に行けず戻ってきたということは何回も経験していますが、今回のように帰る列車がなくなってしまったという経験は初めてです。しかしながらJR側に誠意ある対応をしていただき無事戻って来られてなによりでした。今回のトラブルで得られた教訓は、一つは必ず列車に乗る前には食料を確保しておくということ。二つ目は当たり前ですが「時刻表」を必ず持っていくということです。この二つを用意しておけば相当精神的に余裕を持っていられますので、これからの旅行では必ず心がけていこうと思います。

 また、今回は始めて只見線を走破したわけですが、正直言って「こんなにスケールの大きな自然が、こんな近くの場所に残っていたのか。」という心境です。なかなか走破することが難しい線区ですが思い切ってチャレンジした甲斐があったと思う1日でした。

【乗車日:平成19年 5月 3日】
鉄道コム